今回は、吉田 勧司氏著「3色ペンで読む決算書」を読んでみて、内容の要約と感想をお伝えしたいと思います。
※本記事はブログ主の主観にもとづいた要約と感想のため、実際の内容と多少違うと感じる部分もございます。予めご承知おき下さい。
要約
まず本の内容ですが、著者は決算書に使用される財務3表「貸借対照表(BS)」、「損益計算書(PL)」、「キャッシュフロー計算書」をすべて3色でまとめることで、複雑で分かりずらい決算書を視覚的に理解しやすく解説しています。
本の流れもBS、PL、キャッシュフロー計算書の順に章ごとに分けて説明し、最後に第4章で、財務3表が「四季報」でどのように表示されているかを解説しています。
それぞれの章の最後には、クイズやその章のまとめ、ちょっとした豆知識を記載したコラムなどがあり、とても読みやすい構成になっています。
各章の内容
第1章では、「貸借対照表(BS)」についての説明しています。「貸借対照表」とは、ある一定時点での会社の資産、負債、純資産の状態を表しているものです。著者は「貸借対照表」の「資産」は青、「負債」は赤、「純資産」は緑の3色で分けて表示しています。
「資産」は会社のお金の使い道、「負債」は必ず返すべきお金、「純資産」は返さなくていいお金と著者は表現しています。そして「貸借対照表」では「資産」は「負債」と「純資産」の合計とイコールの関係にあります。この関係をふまえた上で、色と図で分けた「貸借対照表」を見るとその関係性が分かり様になっています。さらに、著者は読み手に「ピザ屋をこれから経営する」という前提で実際に「貸借対照表」をつくる練習をさせてくれるため、より理解度が高まります。
第2章では、「損益計算書(PL)」について説明しています。1年間の最終的な損益を計算するもので、ここでは緑色のみ使用しています。著者は「損益計算書」を地層のような逆三角形の図で表現し、個人的にはこの図がとてもイメージしやすいと感じました。ここでも先ほどの「ピザ屋経営」を例にした実践があり、より理解できるようになっています。
第3章は、「キャッシュフロー計算書」についてです。キャッシュフローはその名の通り、会社のお金の流れを表しています。キャッシュフローは「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」の3種類があり、これらを比較することで、会社の経営状況を判断します。ここでも3色による表現と、「ピザ屋」の実践で分かりやすく解説しています。特に「キャッシュフロー計算書」は実際に動いた現金のみを表すので、会社の業績を客観的に見ることができます。
また、この章では、財務3表がそれぞれ欠点を補う様にできているため、すべて比較して見る必要がある点について解説しています。「貸借対照表」だけでは「純資産」の内訳が分からないため、「損益計算書」が必要です。「損益計算書」は現金の動きがつかめないため、「キャッシュフロー計算書」が必要です。「キャッシュフロー計算書」は「資産」、「負債」、「純資産」がどれだけあるか分からないため分からないため「貸借対照表」が必要、という様な感じです。
第4章では、冒頭で説明しました通り、「四季報」で財務3表がどのように表示されているかを「四季報」の実際のページを見ながら解説してくれています。「四季報」では、「資産」の部分を「総資産」、「純資産」を「自己資本、資本金、利益余剰金」、「負債」の部分を「有利子負債」と表示しています。そして下の方に「キャッシュフロー計算書」、「損益計算書」が記載されています。
著者は、「四季報」を見る際、「純資産」の利益余剰金がマイナスになっていないか、「損益計算書」の「営業利益」、「経常利益」、「当期純利益」が何年もマイナスになっていないか、「営業キャッシュフロー」が何年も連続でマイナスになっていないかを、注意して見る必要があると伝えています。
またここでは、財務3表の他に「ROE(自己資本利益率)」が高いほど、会社に利益を稼ぐ力がある、「自己資本比率」が高いほど会社の安定性(倒産リスクが少ない)がある点についても解説しています。
感想・まとめ
本書は、今まで決算書をまったく読んだことがない、あるいはなかなか内容の理解ができないという方におすすめの本です。長さも短くまとめられ、図と分かりやすい解説、実践を通して、財務3表の種類と内容、読み方がわかります。ただし、財務3表のより深い内容についてはそこまで掘り下げられていないため、すでに財務3表をある程度理解している方にとっては、ちょっと物足りないかもしれません。これから初めて決算書や財務3表について学びたい方は、是非手に取って読んでみてください。
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