壁に棚や収納を取り付けたい時の注意点(木造編)

建築

工事現場監督経験者の筆者が室内の壁に棚等重いものを取り付ける際の注意点をお伝えいたします。

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室内の壁の構造ってどうなっているの?

 皆さん木造建築物の室内の壁はどのようにつくられているかご存知でしょうか?実はこの壁の構造を知っていないと、リフォームやDIYで壁に何かを取り付ける時、失敗してしまいます。特に棚等は重いのでもし取り付け方を間違えてしまうと、壁から落下てしまい、大けがにつながる危険性もあります。

 そのような事故にならないためにもまずは、壁の作りをご説明いたします。私たちが普段壁として目にしている部分は石膏ボードという板でできています。この石膏ボードというものは、石灰を固めて作られており、防火性能があります。現在日本では耐火のために基本的には室内の壁にこの石膏ボードを使うこととなっております。この石膏ボードに壁紙(業界では「クロス」と呼びます)を張り付けたものが仕上がっている状態の壁です。

 そして石膏ボードは柱にビス(ねじと釘を合わせたようなもの)によってとめられています。つまり、室内の壁は柱が並べられたところに石膏ボードという板を張り付けてできているので、極端に言うと柱がない部分は空洞になっています。

 そのため、石膏ボード自体は粉を固めただけの板なので、室内の壁は中に柱がある部分以外は見た目ほど強度がないつくりとなっているのです。(※ここで言う強度は壁にものをつけた時の強度を指しているので、建物の耐震等の強度とは関係ありません。)百円ショップ等に売られている壁掛けフック程度なら十分もちますが、棚の様な木の板や箱を取り付けるには全然強度が足りず、少し重いものをのせたりすると落ちてしまいます。

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棚取付の際に必要な作業

  では、実際に壁を取り付けるためにはどのような作業が必要となるでしょうか。よくある方法として主に二つご紹介いたします。

①既存の柱の位置に合わせて棚を取り付ける。

 木造建築物の室内壁には、必ず柱がありますのでその柱の位置を特定しそこに棚をビスなどで固定する方法です。柱の位置を特定する方法ですが、一番簡単で安上がりなものは「下地探し」という道具を使用することです。「下地探し」とは壁に押し込むと中の針が出てくる構造で、針が深く入るところは空洞、針が浅く入るところには柱が入っていると調べることができる道具です。ホームセンターで1,000円ちょっとで買えるのでお手軽です。

  「下地探し」で見つけた柱の位置にマスキングテープなどで印をつけ、そこに合わせて棚を取り付けると、しっかり取り付けることができます。柱の間隔がだいたい300mm間隔か、455mm間隔で組まれているため、端からメジャーなどで測ってから調べるとすぐに見つけることができますので試してみてください。

②新たに下地を取り付ける。

 もう一つの方法が新たに下地をつくる方法です。①の方法では柱の間隔に合うサイズの棚しか取り付けることができません。もし柱の間隔より短い棚等を取り付けたい。あるいは柱の間隔ではビスを留める位置が半端になってしまう場合は下地を新たに取り付ける方法が必要になります。(※下地取り付けの場合は必ず石膏ボードを切る作業が入るため、壁紙の張替えは必須になります。)

 下地を取り付ける場合、一番簡単な方法は棚を取り付けたい範囲の石膏ボードをベニヤ板に取り換える方法です。石膏ボードを切り取り、その切り取った部分と同じ大きさにベニヤ板を切って、柱にビスでとめることで、ベニヤ板の張ってある範囲はどこでも棚などを固定できるようになります。ただし、この方法の欠点は壁紙(クロス)を張る時に必要な「パテ塗り」が大変になること、ベニヤ板の質が悪い場合「あく」という木の汁が時間が経つとクロスに浮き上がってきてしまい汚れてしまうということです。この2点には注意して作業を行うまたは依頼しましょう。

キッチン吊戸棚用のベニヤ下地

 ベニヤを張りたくない場合は、柱と柱の間の空洞に木材を横にして追加することで棚を取り付ける下地をつくることができます。この方法では木材を追加した後、石膏ボードを張り直すので壁紙の張替えは通常通りの手間で行うことができます。しかし、下地となる木材の高さは限定されるため、下地をいれる位置を計算して取り付ける点に注意が必要です。

まとめ

 いかがだったでしょうか。棚を壁に取り付ける作業は簡単に見えて、意外と注意する点が多いです。安全な棚を取り付けるためにも、どこに取り付けるのか、そのためには何が必要かを理解した上で作業、または業者さんに依頼をしていただくとスムーズに取り付け工事を終えることができると思います。是非、今回ご紹介した知識を活用していただき、より快適なリフォームができることを願っております。

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